「ひたちなか海浜鉄道」は、茨城県ひたちなか市のJR常磐線・勝田駅から太平洋沿いの阿字ヶ浦(あじがうら)駅までを結ぶ鉄道で、すべての駅がひたちなか市内にあります。ひたちなか海浜鉄道の駅名標には、駅周辺の歴史や文化、名物などが描かれています。列車に乗って駅名標を見ると、ひたちなかのことがより深くわかります。
ひたちなか海浜鉄道湊線の路線と全11駅
ひたちなか海浜鉄道湊線(みなとせん)は、ひたちなか市のJR常磐線・勝田駅から工機前(こうきまえ)駅、金上(かねあげ)駅、中根(なかね)駅、高田の鉄橋駅、那珂湊(なかみなと)駅を経由して殿山駅、平磯駅、美乃浜学園(みのはまがくえん)駅、磯崎駅、阿字ヶ浦(あじがうら)駅までを結ぶ鉄道路線です。全長14.3km、全11駅を約28分で走行します。
グッドデザイン賞を受賞した湊線の駅名標
駅名標とは、鉄道駅のホームや壁面に設置される駅名を示した案内標識です。湊線の駅名標は、どれもカラフルにデザインされています。実は、現代アートプロジェクトの「みなとメディアミュージアム」(以下、MMM)で制作されたアート作品です。みなとメディアミュージアムとは、茨城県ひたちなか市那珂湊地区を中心に開催される地域密着型の小さな芸術祭です。
この駅名標のプロジェクトは、2015年にグッドデザイン賞を受賞しています。
勝田駅
JR常磐線から接続する湊線の起点駅です。ひたちなか海浜鉄道のシンボルカラーであるオレンジ色で、車両と社のロゴマークが描かれています。改札口を出ずに直接湊線の1番ホームから入ることができます。
工機前駅
工機前駅の駅名標は落ち着いた緑色を基調に、電動工具のインパクトドライバーとセーバーソー(電動のこぎり)が描かれています。「機」の字には電気マークもデザインされています。工機前駅はもともと日立工機(当時)の専用駅でしたが、1998年(平成10年)12月8日から一般の方も利用できるようになりました。
金上駅
桜色で、金上駅に近接する陸上自衛隊勝田駐屯地が桜の名所でもあることから、桜と特殊車両(戦車)が描かれています。勝田〜金上間の乗車券は、「勝田(かった)→金上(かねあげ)」が「勝った、金運が上がる」と読めることから、縁起のいい区間とされています。「縁起きっぷ」という特別な切符が勝田駅と那珂湊駅で販売されています。
中根駅
7世紀前半頃に築造された虎塚古墳にちなみ、矛(ほこ)と前方後円墳が藍色で描かれています。レトロな雰囲気から「秘境駅」の一つとして知られています。中根駅近くには、貝塚や古墳などの史跡を案内する看板も多く歴史好きにおすすめです。
高田の鉄橋駅
「高田」と「鉄橋」をそれぞれ両側の岸に見立て、両岸間を鉄橋で渡る列車をイメージして明るめの緑色で描かれています。地域の要望によって2014年(平成26年)10月1日に開業した無人駅です。国道245号線の高架の真下を横切る形という珍しい立地です。
那珂湊駅
黒色で、左には幕末に大砲鋳造のために建設された「反射炉」。中央には日本初のステンレス製気動車「ケハ601」、右には那珂湊駅のアイドル「駅ネコ」が並びます。反射炉には、駅から徒歩10分ほどで着きます。著者が訪れたときに駅ネコのミニおさむちゃんがご飯を食べていました。かわいいですね!
殿山駅
ひたちなか市の花「ハマギク」と「ケイトウ」の2つの花が、茶色で描かれています。ホームには閉校した旧那珂湊第二高校の記念モニュメントのふくろうが飾られています。夏季限定ですが、「姥の懐(うばのふところ)マリンプール」があります。潮の干満を利用した全国でも珍しいプールです。
平磯駅
海を思わせる青色で、「平」の部分は平磯海水浴場のシンボルである「クジラの大ちゃん」です。渡り鳥の通り道となっている平磯海岸にちなみ、「磯」に集まる渡り鳥が描かれています。平磯海岸には海水浴場や平磯白亜紀層があり、海辺の観光を楽しめます。海水浴場は子どもがいる家族連れに人気のスポットです。
美乃浜学園駅
若草色で、美しい海と学校名の語源となった万葉集の和歌、学園の屋上にあるソーラーパネルが描かれています。地元の民謡磯節にちなんだ三味線や、近隣海岸に自生するスカシユリもデザインされています。ひたちなか市立小中一貫校「美乃浜学園」のアクセス駅として2021年(令和3年)3月13日に開業した一番新しい駅です。駅のホームからも美乃浜学園が見えます。
磯崎駅
紫色を基調にしたデザインで、磯崎駅近辺に広がるさつまいも畑のさつまいもが「磯」に描かれています。「崎」は酒列磯前神社(さかつらいそさきじんじゃ)に祀られている少彦名命(すくなひこなのみこと)です。さつまいも畑を抜けて、徒歩12分ほどで酒列磯前神社にお参りできます。
阿字ヶ浦駅
青色で、近くにある温泉、釣り針と海藻、そして茨城県の代表的な鍋食材であるあんこうが描かれています。敷地内に「ひたちなか開運鐵道神社(ひたちなかかいうんてつどうじんじゃ)」があり、列車がご神体として祀られていました。レール製の鳥居に歴史を感じますね。近くには遠浅の美しい海岸が広がる阿字ヶ浦海水浴場があります。
まとめ
この記事では、個性的な駅名標がある、ひたちなか海浜鉄道湊線をご紹介しました。
駅名標は駅ごとに色やモチーフが異なり、沿線の歴史や文化、名物などがデザインされています。
駅名標に描かれているモチーフの意味を知ると、その土地への理解も深まります。
ひたちなか海浜鉄道湊線に乗って、駅名標を楽しむ小さな旅をしてみませんか?